マックス・ヘッドハンター・ルーム

ボーッとテレビを見ていたら、「今やAIがヘッドハンティングをしてくるぞ」という特集を見た。それは、フェイスブックツイッター等にあげた文章などからAIが自動的に判断し、AIから転職をすすめてくるらしい(現在は、エンジニア限定とのこと)。おい、まるで映画マトリックスみたいじゃないか。

 

俺も結構な長い年月、このクソ・ブログを続けてる。もしも、「急募!下らない思考を持つロック好きの中年男性」なんて求人があがった日にゃあ、AIから招待状が届いちまうな・・・なんて、「確かマトリックスに出てくるネーチャーンの名前はトリニティだったな。トリニティ・・・」と思い出しつぶやきながら、ニヤニヤしていた。と同時に、背筋にとてつもない悪寒を感じた。

振り向くと、後ろにマトリックスに出てくるイカツイ奴(確か、名前はモーフィアスとか言ったヤツ)が立っていて、「検索履歴と閲覧履歴だ」と低い声でメッセージを発した。モーフィアスの目を見ると、外道に差し向けられる蔑むような眼差しだ。検索履歴と閲覧履歴・・・検索履歴と閲覧履歴だと!

 

モーフィアスがイカツいノートPCを開いて、「これが、お前が初めてパソコンを触った日から今迄の検索履歴と閲覧履歴だ」と言った。

震えた。俺の検索履歴と閲覧履歴、凄まじいロー・パワーの塊だった。分かり易く言おう。もの凄く下らないのである。薄っぺらいのである。恥ずかしいのである。

「これが、お前だ」

こ、こ、これが、俺の全てか。これが俺か!俺なのか!違う!でも、反論できない。

「よく見ろ。これが、お前だ」

精神が破壊されそうなのを、必死で堪えている。今にも精神が破壊されそうなのを、必死に必死に堪えている。ああ、あの時、ザザ(確か、本名はマット・ジョンソンとかいうヤツ)がアルバムタイトルにつけてたマインド・ボムって、これの事なのか?

 

Mind Bomb

Mind Bomb

 

 

 

 

お品書き

結婚式とかちょっと高級な料亭に行くと、コース料理が書かれた小っちゃい紙がテーブルに置いてありますよね。あれを読むのが好きです。

まあ、必ず聞いた事が無い単語が一つ二つあって、それがなんなのか、一体全体どういう食いものなのか、あれこれ想像を巡らせて待つのですよ。

かつては、「カルパッツォ」って書いてあるヤツがなんだかわからなくて、そのカルチャーとロベルト・バッジォが融合したような響きに、どんだけファンタジスタな料理が出てくるのであろうかと、期待に胸膨らませたものです。

 

先日、お品書きに「ロマネスコ」と書いてあるヤツがあり、一体これは何だろう、ワインか?はたまた深海にひっそりと暮らす魚介類か?なんて夢想していた訳です。

その正体は、ブロッコリーみたいな野菜。

 

またある日は、「プチヴェール」と書いてあるヤツがあり、一体これはなんだろう?幻のキノコみたいなやつか?はたまた魚介の希少な卵か?なんて夢想していた訳です。

その正体は、ブロッコリーみたいな野菜。

 

人生でまだ食べた事がない食材がある喜びを噛み締めつつ、そのほとんどがブロッコリーみたいな野菜である事に戦慄を覚え、僕はお品書きを小さく小さく何重にも折り畳んだ。

 

あいすてぃる

いまどき、「社員旅行」という目眩がするほど古色蒼然とした響きのイベントに参加してきた。

 

鎌倉で自由時間が2時間できた。目当てのロックバーは夜しか開いていない。鎌倉はレコード屋さんも絶滅状態。仕方なくジャズ喫茶に行き先を設定。鶴岡八幡宮を背に歩き出す。

やたら人の多いメインストリートに、「ジャズ喫茶が混んでたら嫌だな〜」という嫌な予感がよぎる。店に到着。混んでいる様子はない。よし。

店内に入ると、少し薄暗い。いいね。 

バイト臭キツめの若い店員さんに案内され、奥へと誘導される。ん?奥は陽がさしこんで明るいんだな。着座して気がつく。このポジション、ジャズが聞こえねぇ。聞こえてくるのは、隣のテーブルでくっちゃべりまくってるオバハン4人組。塾がどうのこうのとかPTA役員がどうのこうのとかどうでもいい話を大声でくっちゃべってる。おい、ファミレス行けや。ファミレスの存在、知らんのか。と、聞こえないように苦笑しながらひとりごつ。仕方なく、ヘッドホンをつけて、iTunesを再生。一体何やってんだ、俺は。音量と共に、苦笑のボリュームも上がっていく。

と、1人の男が俺と同じように誘導されてきて、「相席いいですか?」と俺に話しかけてきた。

「あ、いいですよ」

外人か。

よく見たら、ボノだった。

「え?ボノ?」

ボノは、立てた一本指を口にあて、シーっとやって僕に微笑んだ。

「なぜ、鎌倉に?」

「まだ、探してるものが見つからないんだよ」

「え?」

「何を探しているのかもわからないんだけどね」

「はあ。他のメンバーは?」

「あいつらがいようがいまいが、関係ないさ」

「もしかして、ふざけてます?」

 「ただのU2ジョークだよ。そんなにマジになるなよ」

 「はあ」

ボノはブレンド・コーヒーを注文すると、

「アメリカン・コーヒーって何?」

と俺にたずねてきた。

「薄いヤツだよ」

「アメリカ人は薄っぺらいって!言うね〜、日本人。じゃあ、アイリッシュ・コーヒーは?」

「酒でしょ」

「酒だ」

ボノはにんまりと笑って、もう一度言った。

「酒だ」

フジ&サマソニ

フジロックのメンツも発表になりましたね。ケンドリック・ラマーやNERDも好きなんですが、フジロックで見たいかというと、そうでもないんだよな。気になるのは、HOTHOUSE FLOWERSで、これ、「この後、U2くるよ」ってヒントなんじゃねって勘ぐってしまう。

 

サマソニの方で気になってるのは、ツェッペリンみたいなグレタ・ヴァン・フリートです。

 

一昨年見逃した、beckも気になる。ニューアルバムのcolors、なんだかんだでいつも聴いてる。

 

しかし、今年はどちらも家族では行けそうにない。息子のバスケの試合・合宿ですわ。

U2来るなら、悩むな〜。

 

通信制限の果てに

ようやく厄が明けた。スマホ通信制限である。自分が情弱なだけなのか、毎月末にはだいたい「制限かけまっせ」といったメッセージが僕のもとに届く。今回は、月中にきやがった。いつもより早いじゃないか。早すぎるぞ。

 

普段、PCを開く事が無くなった。このブログもスマホに打ってスマホであげている。通信制限がくると、せっかく書いた文章の保存もロクにできやしない。

 

仕方なく、トム・ウェイツの如く思いついた事を破ったメモ帳などに殴り書いて、その紙をクシャクシャに丸めてジャケットのポケットに押し込んでおいた。

 

ある日、出勤しようとジャケットを羽織りポケットの中を弄ると、中に何も無い。カミさんが捨てちまったか?

え?ポケットには絶対に触る事は無いし、紙も捨てないよ。これは正しいと思う。彼女は絶対にそんな事をする人ではない。となると・・・どこかで落っことしちまったかな。

 

 

クシャクシャに丸めたファミレスのキッチンナプキンに、青いインクでびっしりと何か書いてある。何だろう?なぜか興味を惹かれて、いつもは捨てちゃうんだけど、開いて見てみた。そこには、強い筆圧の角張った字体で、朝のルーティンだとか、ディジー・ガレスピーだとかいう文字が縦横無尽に書いてあり、ワルツ・フォー・デビーのデビーの部分が2重線で消されてデビイに書き直されていた。笑える。私もワルツ・フォー・デビイは好き。この人きっと、朝のルーティンでデビイを聴いているんだろうな。でも、あれはビル・エヴァンスだから、ガレスピーじゃないぞ。この人、あんまりジャズ詳しくないのかもしれないな。でも、私の店に来るって事は、きっとレコードに針を落としてる類の人なのだろう。でも、マイレボリューションって何だろう?いろいろ推理すると楽しい。一体、どんな人なんだろうな。

 

帰宅して、無造作に立て掛けて置いてある大量のレコード群からビル・エヴァンスのワルツ・フォー・デビイを探したけれど、見つからない。あれ?どこに置いたかしら?仕方なくポートレイト・イン・ジャズをセットする。私もエヴァンスを、朝のルーティンにしようかな。拾ったキッチンナプキンをピンで壁に留めてみた。マイレボリューション、そう口に出して呟いてみた。何かが変わるかもしれない。そう願いながら。