ニューイヤーズデイ

ポッ・ポッ・ポッ・ピーーン

ハッピーニューイヤー!!

今年は、移動中の車の中で、家族で年越しを迎えました。

 おめでとう!おめでとう!!

「今年は車内か〜。出産が間に合わなくて、車内で産まれちゃった感じだよね〜。あ、この瞬間、何聴こうか?」

「え?」

「やっぱりアレか」

「またU2のあの曲?」

「いや、さすがにあれは飽きたな。雪積もってないしさ」

運転していた妻が流していた星野源のファミリーソングをカットオフし、クイーンのボヘミアン・ラプソディを選曲して、プラグに繋ぐ。

「またこれか〜」

となかば呆れながらも、「キター!」と盛り上がる子供たち。理由は、この映画のこのシーンだ。

これをですね〜、男4人で車内で完コピする訳ですよ。当然、妻は嫌がりますわな。

「ヤメて。車、揺れてるって。恥ずかしいから!」

だけどね、止まらないんですよ。深夜にヤローが4人も集まると、このグルーヴは止められねぇんですよ。

車が家に到着した後も、俺たちのボヘミアンは止まらない。アカペラ・ボヘミアンの大合唱と、ヘッドバンギング。父子でリビングで大騒ぎしていたら、近所迷惑!と、カミさんに叱られました。

正月からムチウチ気味で首痛です。なんか気になって調べてみたら、フレディ・マーキュリー戌年生まれの歳男ですね。そう言えば、ムチウチって響きも、鞭打ちって書きかえるとなんだかフレディっぽいイメージあるよね〜。

あの日、フレディは我が家にやってきていたんじゃないか。首をさすりながら、そんな事を考えた今年の正月です。

 

仕事の流儀

おい、そいつは無理な相談だ。いや、決して嫌だからじゃ無いんだぜ。ああ、俺がやったら子供達に馬鹿ウケする事はわかってる。だけど、あれデリケートなコンテンツだろ?なにせ、信じてる奴だっているんだぜ。そいつの夢、壊す事になっちまったらどうする?

 

必死に訴えているってのに、「ドッジボールの監督をやらなかった」だの、「親子キャンプをボイコットした」だの、「廃品回収で分別しなかった」だの、この1年間で積み上げてきた俺の数々の悪行・前科を列挙してシクシク泣きやがるもんだから、仕方無しに引き受ける事にした。女の涙ってやつに俺はすこぶる弱い。

 

最初に言っとくけど、やると決めたからには俺は中途半端な事はやらないぜ。全力でやりきるからな。トラウマになる奴がいても、責任取らないからな。

 

まずは装備を整えよう。100円ショップに衣装を買いに行く。ここには衣装セットは売っているが、そのセットには帽子と簡単なヒゲが付属しているだけで、肝心の髪の毛と眉毛は付いていない事は知っていた。あれが無いと、完全体になりきれないセルのように間抜けな感じに仕上がるって事は、リサーチ済みだ。白いストールと綿とマスクを買い足し、白髪とヒゲともみあげを増量する。

服は、タンスの奥にしまってあったノースフェイスの「ダウンがパンパンに詰まったダウンジャケット」を引っ張り出し、その上から衣装を着て上半身をパンプアップする。

佇まいと話し方を研究する為、ウルトラマンエースの第38話と1985年公開のサンタクロースという映画を借りてみるが、なんの参考にもならない。

 

いよいよ本番だ。会場に着くと、待機場所である薄暗い倉庫に案内される。そこで衣装に着替えている時に、なんともいたたまれない寂しい気持ちに襲われた。

ああ、ヤツがまた来たか。

うん。来ちゃった。

お前が来るのは、いつ以来かな?直腸検査の前にパンツを脱いだあの時以来かな。

・・・久しぶりね。

もう、来るなよ。俺だって家庭があるんだぜ。

だって、しょうがないじゃない。

和田アキコか、お前は。

なんて心のやり取りをしてる内に、倉庫の扉が開いて、「そろそろ出番です」の声がかかる。登場曲は、自分でCDまで持参してあらかじめお願いしておいたヴァン・ヘイレンのジャンプだ。イントロが流れ、最初の唸るような絶叫に合わせてステージにスライディングで滑り込む。素早く立ち上がると、デイブ・リー・ロスばりのローリング・ソバットをキメる。子供達は、ポカーンと呆気に取られている。関係無いぜ。

「メ〜リ〜 ・(タメて)クリスマ〜ス!」

地声のデカさと太さには定評がある。ジョン・カヴィラ声で、両手を広げて思いっきり挨拶すると、子供達は大盛り上がりだ。

「悪い子は、いねがー」

「それ、ナマハゲだろ!」

・・・サンタをやるにあたり、家内からは、「子供達には絶対に内緒にしておくように」と箝口令が敷かれていた。が、ムードメーカーの次男には事前にこっそり打ち明けていた。

「あのさ、実はね」

「何?」

「絶対に秘密だぞ」

「うん」

「これを父さんがお前に言った事も、お母さんには絶対に秘密だぞ」

「うん、うん」

「明日の子供会のクリスマス会で、サンタクロースが出てくるんだよ」

「へ〜」

「そのサンタ、父ちゃんなんだ」

「!」

「誰にも言うなよ」

「わかった」

「で、お前にお願いがあるんだけど」

「何?」

「最初に、「悪い子いねがー」って言うから」

「それ、ナマハゲじゃん」

「そう!デカイ声でツッコミ入れてほしいんだよ」

「ヤダよ、絶対ヤダよ」

「頼むよ、俺が考えたツカミなんだよ」

「ヤダよ、恥ずかしいよ」

「父ちゃんのサンタの方が恥ずかしいだろ!ツカミでスベったらもっと恥ずかしいだろ!」

「え〜〜〜、ヤダよ」

「うるさい!やれ!クリスマスプレゼント無しだぞ」

「え?・・・わかったよ。やるよ」

「よ〜し、よ〜し。じゃあ、リハーサルしよう」

という家庭内パワハラで、ツカミの小ボケ&ツッコミのネタを仕込んでいた。タイミング、声の調子など何度も何度も練習したのだが、ナマハゲのボケが思った以上にウケてしまい、次男のツッコミは子供達の笑いにかき消されてしまっていた。すまん、次男。

 プレゼント小話を披露した後、退場時にビートたけしばりの階段コケを披露。これも子供達は大爆笑だ。最近の子達は、規制だコンプライアンスだで制約だらけの生活なので、ちょっとしたパンキッシュ・パフォーマンスが相当ウケる。ポイズン溜まってますな〜、現代社会。

 

反省会)

 嫁:やるとは思っていたが、あそこまでやれとは言ってない。

長男:滑り込んできた瞬間に、オヤジだとわかった。恥ずかしかった。「誰のオヤジだ?」ってめちゃめちゃ話題になってたけど、恥ずかしくて言い出せなかった。

次男:ツッコミのタイミングが気になって、会自体が全く楽しめなかった。

三男:サンタ、おもしろかった。

 

今夜は、毎年恒例のファンタスティックミスターフォックスを家族で見ることにしよう。メリークリスマス。

 

 

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ラッキー7

20年間乗っていた車が故障気味だったので、車検を前に思い切って新車を購入した。

「車両ナンバー、いかがします?今、好きな数字が選べるんですよ」

車屋さんでそう言われる。最近、ツイテないからな〜。その場のノリで、777にした。ラッキー☆スリー7だ。7回裏にジェット風船でも飛ばしたろか。

 

新車に変えてすぐ、後から追突された。

クソっ、ツイテない。

ぶつけてきたのは、黒塗りのイカツイ外車だ。よりによって厄介そうな車だぞ。

まったくツイテない。

外車の扉が開くと、黒いミニスカートからスラリと伸びる白く長い脚、綺麗な長い髪のとても美人な女性が、心配そうな顔をして降りてきた。その瞬間を正確に表現するならば、ペキンパーの映画のようにスローモーションでドアが開き、スローモーションで綺麗な白い脚が車から出てきて、スローモーションで女の長い髪が風になびいた。

 お?ツイテる?

「スミマセン。オカマ掘っちゃいましたね。大丈夫ですか?」

美人の口から飛び出した、その麗しき唇から発せられるにはふさわしくない「オカマ掘る」という下品なワードに、ゾクゾクする。

うん。ツイテる。

初めて嗅ぐいい匂い。これ、なんっつうシャンプーだ?

ああ。ツイテるよ。

「じゃあ、車寄せて、警察呼びましょうか」

「あの・・・」

突然、顔を曇らせて、モジモジし出す美人。

美人のモジモジに、俺は弱い。

ツイテる。

「どうしました?」

「あの・・・あの・・・お願いなんですけど、警察は呼んでほしくないんです」

「はあ?」

潤目でこっちを見つめる美人。

ツイテ・・・る。の?

「でも、事故証明取らないと保険が・・・」

「私が全面的に悪いので、もちろん車の修理代はこちらでお支払いますし、あなたの医療費も全額お支払い致します」

「はあ」

ツイテる?の?

僕の苦手とする『美人の切羽詰まった強引な押し』に寄り切られ、とりあえず美人と連絡先を交換し、その場は別れた。

連絡先ゲット。

ツイテる!

美人からもらったピカピカ光る分厚い名刺には、エステ店の代表取締役の文字が印刷してあった。

「男性も大丈夫なので、よかったら今度、いらして下さい」

ツイテる!

 会社を半休し、病院へ。レントゲンを取る。医者の診断は、

「異常は無いんですが、念のためムチウチにしときますか」という、なんともテキトーな診断。

ツイテる?

しばらくリハビリに通って下さいと案内されたリハビリ室には、ミニスカートにやたら胸の部分が強調された制服を着た看護婦が笑顔で出迎えてくれた。

ツイテる。

室内には、なんだかやたらと中年男性が多い。まあ、わかるよ。うん、わかる。

 

翌日、美人の携帯に電話をすると、繋がらない。会社の方に電話をすると、「この電話は現在使われておりません」のメッセージ。

ツイテない⁉︎

名刺に印刷された住所のエステ店に行ってみると、そこはインド料理の店に変わっていた。

ツイテない!

仕方がないので、インド料理でカレーを食べた。涙が出てきた。悲しくて情け無くて、いやそんな理由じゃないんだ。辛さ10倍で頼んだ激辛カレーのせいなんだ。

支払いの時に引いたスピードくじで、ナン無料券が当たった。

ツイテる!

 

クリスマスの夜

嬉しい事に、リクエストがありまして。マイ・クリスマス・ソング・ベスト3を発表します!

 不動の1位は、この曲。

 THE POGUES : Fairytale Of New York

日本ではあまり知られてないけれど、イギリスでは一番人気のクリスマスソングです。この「昭和枯れすすき」みたいな歌詞の曲を、パブで酔っ払ってみんなで合唱するなんて、色んな意味で素敵だと思いませんか。僕は、日本でもこのポーグスの曲をクリスマスの定番曲とする為、細々と普及活動に努めています(シェーンに印税とか入るのかな?入ってるといいな)。まずは家族からという事で、うちの家族もだいぶ洗脳されてきたと思う。

 

ナンバー2の発表の前に、我が若き日を振り返ると、女性とお付き合いする期間ってのが短命で終わる事が多く、肝心のクリスマスに彼女がいないってケースがほとんどでした。仕方なくバイトの穴埋め役を買って出たり、意味も無くめかしこんで土曜日の夜の恋人を探しに街に出掛けたり、そんな自分を妄想してベッドでエビ型に寝てたりとか、とにかく孤独なクリスマスを過ごしていたな〜。ああ、ハッキリ言って辛かったよ。そういうの気にしない男になりたいよな。で、そんな時に聴いていたのは、この曲だ。

 BEN FOLDS FIVE : BRICK

 

美しいメロディー。まるで窓の外に雪が降り積もる時のBGMの如く弾かれる優しいピアノの調べ。そこにベンの切ないボーカルが乗るこの曲。ずっと「クリスマスの翌日に女の子にフラれる歌」だと思いこんでいました。ベッドでエビになる時に相応しい曲。

だけど本当は、「クリスマスの翌日に、「やっぱこいつのこと好きじゃないわ」と気づいた彼女を中絶させる費用を稼ぐ為、クリスマスプレゼントを売って金を作りに行く歌」という、ちーとも共感できない鬼畜極まりない最低の内容の歌詞で、ベンに対する怒りで震えた。おい!ベン!金を返せ!

これが所謂、「華氏65度の冬」ってやつですな〜。でも、なんでかんで好きな曲です。 

 

そして第3位は、これ。

VINCE GUARALDI TRIO:もみの木

 

スヌーピーのメリークリスマス

スヌーピーのメリークリスマス

  • アーティスト: ヴィンス・ガラルディ,フレッド・マーシャル,エマニュエル・クライン,チャック・ベネット,モンティ・バドウィッグ,ジョン・グレイ,トム・ハレル,ジェリー・グラネリ,スウォード・マッケイン,コリン・ベイリー,マイク・クラーク
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2012/11/07
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最後は、お洒落にね。長く生きていれば、素敵なクリスマスってやつも経験するものです。本当は照れ臭くて、そういうのあんまり好きじゃないんだけどね。

 

土曜日の夜

日曜日の夜に、土曜日の夜に聴きたくなる音楽を聴こうかな。聴こうよ。

 

土曜日の夜

土曜日の夜

 

 

イントロの、都会の雑踏の中に響く「ファー」っていう車のクラクションの音を聴いただけで、物凄く切ない気持ちになっちゃうんです。あのクラクションの音、もしかしたら僕が人生で耳にした音の中で一番切ない音かもしれない。独りぼっちの土曜日の夜に、ロックグラスに普段飲まないバーボンをちょっとだけ注いで、その上にポトンと落とした丸く削った氷塊を、指のマドラーでかき回しながら、そんなことしてる自分を夢想しながら、この歌を何回も聴いていた。正直言って俺には、トム・ウェイツの如く土曜日の夜の恋人を探しに、めかしこんで土曜日の夜の街に繰り出す勇気も気力も無かったよ。氷を削って、ビーフジャーキーを炙って、酒をグラスに注ぐ気力すら無かったよ。ただ、部屋で一人でベッドでエビ型になってダウンしていただけだ。

この曲が入ってるアルバム、名盤だよね。でも、アルバムジャケットが本当に残念な感じの絵画で、なんであのジャケットなんだろうなって、いつも思ってた。いやいや、あれはあれで味があっていいジャケじゃないかって、言い聞かせてた時期もあった。でも、あれでスモールチェンジのジャケットだったら、たちまち大大大名盤にアップグレードされちまう事だろう。アルバムの後ろ側に載ってる写真でもいい。なんでこっちがジャケじゃないんだろうか。あの絵、おそらく土曜日の夜の歌詞をイメージ化したものなんだろうけど、歌詞に出てくる「微笑を浮かべてこっちをみてる水商売の女」があの小太りで憎らしい顔をしたババアというのは、いかがなもんだろう。俺の中では「微笑を浮かべてこっちをみてる水商売の女」は、フェイ・ダナウェイじゃないといけない。強制的にあのババアを連想させてきやがるのは、本当に迷惑なのでやめてほしい。

フランス映画が好きな女の子、ジャズが好きな女の子、ピアノが好きな女の子、酒が好きな女の子、朝日に目を細める女の子、コーヒーを上手に淹れる女の子、シオンが好きな女の子(もっともそんな奴はいなかったが)・・・ちょっとでもトム・ウェイツ好きそうな要素を持った女の子と出会った時、手当たり次第にアルバム「土曜日の夜」を貸していた時期がある。でもやっぱり、あのジャケットに拒否反応を示し、明らかに聴かないで返してきた女の子、多かったな。多分、あのババアのせいだよね。