● ハーヴェスト・ムーンを聴きながら ●

僕が大学時代にレコード屋でバイトしてた時のことだ。
黒いスーツに身を包んだとても魅力的な年配の女性がお店に入ってきて、
ニール・ヤングの新しいハーヴェストはありますか?」と僕にたずねたんだ。
キレイな大人の女性にはとても似つかわしくない「ニール・ヤング」という単語のアンバランスさ。
それと、「新しいハーヴェスト」って言い方がなんかおかしくって、僕は思わず吹き出しそうになった。許せ、ニール・ヤング
僕はロックのNの棚まで彼女をエスコートし、その日の午前中に僕が自分で陳列した「ハーヴェスト・ムーン」のCDを手渡した。
彼女は高そうなバッグから高そうな財布を取り出し、そこから1万円さしだした。
レジスターがガシャーンと開いた後、僕は勇気を出して、「今夜はこのアルバムにぴったりの仲秋の名月ですね」と言った。
彼女はニッコリ微笑んでハーヴェスト・ムーンを受け取ると、高そうなバッグにしまって店を出て行った。