コーヒーカップを集めだしたのはいつ頃からだろう。
彼女に連れられていった陶器市。
あんな所に行くと、
”誰かに突然呼び止められて振り向いたら背中にしょったリュックサックで飾ってあるグラスを根こそぎガラガラガッシャーン”
っていう恐怖の光景がフラッシュバックして、落ち着いていられやしなかった。
それは、「リュックサックを持っていかない」という簡単な方法で解決できる事に気づいた。
彼女に連れられていった陶器市。
そこで見た色々とりどりの陶器達に息をのんだ。
何気なく使っていたコーヒーカップがこんなに魅力的だったなんて・・・。
その日を境に俺の興味はコーヒーカップへと移っていった。
1日のほとんどをコーヒーカップの事ばかり考えて費やしている。
休日も街中のコーヒーカップ屋に行ってカップを漁る。
いまや街中では飽き足らず、日本中へとその範囲は拡大しつつある。
洋服のコーディネートもコーヒーカップに合わせる。
今日のネクタイもコーヒーカップ次第だ。
やがて付き合っていた彼女が俺の元を去った。
捨てゼリフは、「私とコーヒーカップとどっちが大切なの?」。
名言だ。そんなのコーヒーカップに決まってるじゃないか。
コーヒーカップへの愛を再確認した俺。
そんな俺は、コーヒーが大嫌い。