+同窓会+

ある日、同窓会のおしらせハガキが届いた。
高校時代の仲良し4人組。3年の時、学園祭でバンドを組んだんだよね。
正直、会いたくないなと思った。
俺はうだつのあがらないサラリーマン。学生時代は、「俺は誰の支配下にも入らない」なんてデカい事を言っていた。
バンド名はステッピング・ストーンズ。転がるよりも跳ねたほうがいいとギターのリュウイチがつけた。
ボーカルのカオリは何をしてるんだろう。メンバー全員がカオリにホレていた。
俺も好きでたまらなかった。結局想いは伝えられなかったけど・・・。
ギターのリュウイチやドラムのテツは今なにをやっているんだろう。みんな出世してるんだろうか。不安でたまらなかった。
ただ、カオリには会いたい。まだキレイかな。結婚してるのかな。いい男がいるのかな。今、幸せかな。
実家で田舎暮らしの俺には、場所が六本木というのも行く気が失せる原因だったけど、
カオリ会いたさに結局出席することにした。

リュウイチは銀行員だった。結婚して子供が2人いるという。かつてのスリムだった面影は消え、すっかりマイホームパパといった感じ。
テツはレストランでコックをしているという。どこのレストランで働いてるかは最後まで教えてくれなかった。
カオリは独身だった。学生時代に長かった髪は短くなったけど、今も変わらず魅力的だった。
「いい女になったね」なんて、お決まりのセリフしか言えない俺。
「やだー口が上手くなったわねー」なんてはしゃいでみせて、あの無口だったカオリはやけにあけすけになった。
あまりいい恋愛はしてないみたい。ずっと会社のグチをしゃべってた。
焼酎のボトルが空いた頃、またあのステージに立ちたいねと誰かがつぶやいた。
それからみんなでカラオケ屋に入って、ローリング・ストーンズのTIME IS ON MY SIDEを歌った。
僕達は3分間だけあの頃に帰って、
そしてまたそれぞれの道へと引き返していった。