◎ 明日に向かって射て ◎

今、ダーツが流行ってるの知ってるか?
デジタルのダーツなので人体に突き刺さる心配がないし、
高性能コンピュータがカウントしてくれるので色んな楽しみ方ができるんだ。
調子こいた奴だとマイダーツなんて持ってるのもいる。
そういえばダーツなんて大学時代にやったっきりだな。
なかよし男女4人でプレイして、ここで一発かっこいいとこ見せなきゃならない状況下にいた俺がぶっちぎりで最下位だった。
表面上は「こんなのたかがゲームさ、たかが人生さ、日々の泡さ・・・」なんてクールに笑っていたものの、
本当にくやしくてくやしくて、眠れないくらいにくやしくて、一夜明けてもまだくやしかった事を思い出す。
あの日から俺はずっと、再び訪れるであろう命を賭けたダーツ勝負の時に備え、日々ダーツを意識した人生をおくってきたのだ。
週末、俺はダーツ仲間とピンストライプのスーツとおそろしく細いネクタイでキメて、
ダーツ場へと黒のポンティアックで乗り付ける。
強烈な特製ギムレットを片手に、テーブルのドライ・ヴェルモットのボトルを眺める。BGMはチャーリー・パーカー
あの娘の心を射抜くよに、男達は今日もターゲットの中心を狙ってダーツを投げ続ける。