川上 弘美さんへのメッセージ

「流通マンたるもの、毎朝の日経新聞を読まなくてどうする」 上司にキツくカマされた。
日経は苦手だ。スポーツとラテ欄の扱いがものすごくちっちゃい。
まるで、「スポーツ、テレビましてやラジオなんて・・・なんて低俗なんざましょう」って紙面が言ってるみたい。
ま、できるだけ買って読むことにしてるんだ。でも、どいつがどんだけ儲かってなんて鼻クソみたいな記事にはまったく興味がもてなくて、
とある作家のエッセーに目がいった。
作家の名前は”川上 弘美”。中学の時の国語の先生と一緒の名前。
川上先生は俺のことをとっても評価してくれた。俺は、俺を評価してくれる先生が大好き。だから3倍の愛をもってキチンと授業を受けるよ。
あの頃はマジメだった。いや、マジメをきちんと演じきってたな。
それもみんな映画「アニマルハウス」を見てぶっ飛んでしまった。
そんなことはどうでもいい。もしかしてあの川上先生が作家になったのかな、まさかね・・・なんて軽い気持ちで読みはじめたら、
これが俺の感性にそっくりだった。酒のツマミのネタだったろうか。まるで俺が書いてるような内容(くやしいが俺よりも文章はウマイ)だった。
ま、その時はそれで終わり。川上先生のほのぼのエピソード、うっかりエピソードを一通り思い出した後、
また、誰がどんだけ損しただの儲かっただのといった記事に目を移した。
ある日、古本屋で大好きな泉昌之の「新さん」の単行本を見つけ、購入。
すると、あとがきの解説が川上弘美だった。
またこれがいい事書いてあるんだよね。その日から俺の中で川上弘美の存在が大きくなりはじめた。作品を読んでみたい。きっといい女に違いない・・・。

本なんてここ3・4年読んでない。
唯一読んでるのはニック・ホーンビィの作品だけ。色んな人から色んな本をすすめられるけど、あえて読まなかった。
それは、自分だけの文体を確立したかったから。他の人の文に影響されるのがこわかったから。あえて自分自身に課した鎖国令。
でも川上弘美だけは読んでみようかなって気が日増しに大きくなっていく。鎖国危うし。
だってホントに川上先生かもしれないじゃん、なんて自分に言い聞かせながら、書店の棚を探す。
あった。川上弘美
最初にカバーの裏の著者写真を見た。すっきりとした顔だちが微笑んでる。美人だ。川上先生じゃないや。
念の為、他の出版社から出てる本も探し、同じようにカバーの裏の著者写真を見た。
やっぱりすっきりとした顔立ちが微笑んでた。やっぱり美人だ。やっぱり川上先生じゃないや。
その手に取った短編集を2冊買った。思えば女流作家の本を買うのは、俺の人生ではじめてだ。
やっぱり共感できるところが多すぎて、一気に読みきってしまったよ。
文章がやさしいんだ。なにげない表現がやわらかいんだ。俺の文章とは違うな。
いつか会ってみたいな、川上弘美さん。