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やすっぽい恋愛

やすっぽい恋愛に憧れる。なぜなら僕は恋に落ちづらい。
やすっぽい恋愛か・・・。たとえば電車の車内販売の女性と恋に落ちたい。
そして、ワゴンの商品全部買い占めちゃうってのはどうだろう。ついでにワゴンも買っちゃうってのはどうだろう。

昔、特急列車の指定席に乗っていたら、隣に女性が座った。
女性はココナッツの甘いいい香りがした。
僕は聴いているウォークマンに集中し、なるべく女性の方を見ないように心がけていた。が、女性の方から僕に話しかけてきた。
なんでもさっきまでハワイに行っていて、その帰りだという。
十何時間もあのダルな飛行機に乗った後だってのに、はじめてのハワイがあまりに楽しくってテンションがあがっちゃってどうしようもないみたいだった。
彼女は僕に、ハワイでとった写真を見せてくれた。水着を着てビーチでニッコり笑ってる写真。豹柄のビキニだった。
どうコメントしていいものか困りながら、「やっぱり空の色が違うよねー」なんて写真の中での重要度でいえば4番目くらいのことを言いながら、
なんかこれって念願のやすっぽい恋愛ができるチャンスなんじゃないかって思った。
次にめくった写真は、パンチパーマにヒゲのいかにも格闘家風の男と豹が2人で写ってる写真だった。
さっき車内販売で買ったコーヒーを飲み干した。
俺のやすっぽい恋愛は遠い。