山猫軒

soulknuckle2004-11-21
山猫軒にいた。
前から「あるな」と思っていた。
大学近くの喫茶店。
地元にも同じ名前の喫茶店があった。
いったいぜんたい全国にどれくらいあるのだろうか、山猫軒。
さっき知り合ったばかりの女の子と、
ぼくは、
ウィンナー・コーヒーを飲んでいた。
さっきから彼女が、コーヒーの上の生クリームをこねくり回してる僕のしぐさだけを凝視しているので、
男らしくないなと気づいて、コーヒーの上の生クリームをこねくり回すのをヤメた。
「山猫軒ってわりには注文が少ないね」
彼女の注意を、こねくり回されたコーヒーの上の生クリームからそらすために、
そう話を振ってみた。
彼女は、何を言ってるの?といった顔で大きな目をさらに大きく開いた後に、優しく微笑んだ。
僕はつられて優しく微笑んで、確か宮沢賢治の小説に出てくるんだよね、とやんわりと説明した。
文学部の彼女は、あ、あの東北出身のサエナい作家ね、とかなんとか言ったんだ。
僕は、自分のおじいちゃんが宮沢賢治に似てるんだよねーという話により、
宮沢賢治の話を無理矢理打ち切って、こねくり回されたコーヒーの上の生クリームをスプーンですくって食べた。
そして最後にまた優しく微笑むよう努力した。