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人はみな、酒を飲む。
「酒を飲む行為」を妙にもちあげて、まるで「男の中の男の行為」のように語るヤツラが苦手だ。
同様のことは、タバコを吸う行為、魚を釣る行為、車を運転する行為、正月にサッカーをする行為、海外出張なんかにもいえる。
教えてやる。全部、クソをするのと同等ぐらいの価値しかない。
だから、俺はそういうことを変にもちあげたりしない。
確かに酒は嫌いじゃない。
でも俺は、「酒を飲むこと」よりも「つまみを食らう」ことの方に重きを置いているのだ。
おいしそうなツマミ、見たことも食べた事もない珍しいツマミ、いい匂いのツマミ、いい色ツヤをしたツマミがテーブルの上にあるだけで、
俺は、もう本当に楽しい気分になってウーキーウーキーフーチークーチーしてしまう。(たとえ酒が紙パックのワンカップであってもだ)
俺は、あまりにもツマミを愛しすぎた。もはや俺のほしいツマミは近所の店には売ってない。
だから、自分でツマミ屋を開くことにした。
カミさんは猛反対したが、すでに社長に辞表を叩きつけ、会社のデスクの忌々しきパソコンをハンマーで叩き割ってきた後だった。
いずれは自分でこだわりのツマミを製造したいけれど、まずはツマミのセレクトショップにすることにした。
日本酒、ビール、ワイン、カクテル、シャンペン、紹興酒・・・あらゆる酒に合う全世界のツマミが置いてある店だ。
また、ツマミというと食べ物に限ったわけではない。絵だってそうだし、音楽もそうだ。
映画だっていい。とにかくなんでも酒のツマミになる最高のものが置いてある店だ。
まずは、バーボンに合うビーフジャーキーを探しにテキサスに飛んだ。
創業100年、テキサスの老舗の肉屋、「テキサス・チェーンソー・ブッチャーズ」の主人ミスター・ハンセンは、俺の顔を見るなりこう言った。
「いいかい、日本から来たダンナ。最高のジャーキーってのは、最初っからやらないといけないんだ。そう、出産に立ち合い、産まれた子牛を取り出し、焼印を押し、エサをやり、成長に目を細め、時には叱り、時には抱擁し、愛し、愛しつくし・・・、そして泣きながら絞め・・・(以下略)それでこその最高のジャーキーなんだよ」
そんな時間も金も無いので、店で一番のジャーキーを買って帰ってきた。
+ツマミ屋メニュー
ツマミ1:ビーフジャーキー(テキサス・チェンソー・ブッチャーズのミスターハンセンが自ら愛し育てた牛を泣く泣く絞めて作ったジャーキー)