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人間ドックに行く

実は、人間ドックって「人間・犬(DOG)」だとずっと思っていて、
おっさんとか年配の人しか行かない事から、
「童心に返ってそれぞれがお気に入りの犬になりきり、日ごろの鬱憤を解消する集い」だと思ってた。
だから、そんな集いに誰がいくもんか!ってずっと思ってたんだけど、
俺も「そろそろ重い腰をあげてそんなものにも行かなくちゃなんねーかな」って意識してしまう年齢になっちまった。「早期発見」だとか、「気づいた時には手遅れ」などのキーワードに"軽い頭痛"を覚える。
人間ドックの会場は小児喘息を患った幼少時代に毎週通っていた病院で、
約20年ぶりにその地を訪れ、押し寄せるノスタルジックな感情の波に"軽い頭痛"を覚える。
カムバック・サーモンの気持ちってこんな気持ちなのかなー」なんて思いながら、
受付で検便を渡す。
「このお姉さん、色んな人の検便を爽やかな朝に受け取り続けてるんだろうなー」なんて軽い頭痛を覚えながら、
変な服に着替える。(この時点でギリギリまで持っていた「犬になりきる集い」への期待は裏切られる)
「こんな服着せられて、まるで囚人だよな」とロッカーでつぶやく中年ロッカー。
実際、ドック中は番号で呼ばれるのでまるで囚人だった。
俺に与えられた番号は54番。
「54番、こっちへ来い」だとか、「54番、ボヤボヤするな」と指示される。
俺は大脱走のスティーブ・マックイーンになった気分で、
ここから抜け出すにはどこを突破するのが一番効果的か、
この中のオヤジで誰がブロンソン役を演じるのが適任かなどを"軽い頭痛"を覚えながらボンヤリと考えたいた。
(中略:詳細を知りたい人は連絡を)
色々検査をして、最後にはメイン・イベントの胃の検査が待っている。
炭酸を飲まされ、「54番、ゲップは絶対にするなよ」とキツく念を押される。
大丈夫、ガキの頃に一度バリウムは飲んでいる。
あの時は約1リットルのバリウム(しかもマズい)はガキの胃袋にはヘヴィすぎて、
無理矢理一気飲みさせた医者にわずかな殺意を覚えた。
また、翌日のウンコが真っ白になったので真剣に死を意識した。まったく病院にはロクな思い出が無い。
それよりもゲップって医学用語でもゲップなのか?ってことが気になってしょうがない。たしかにドイツ語の響きに似てる気がする(ドイツ語知らないが)。
次にバリウムを飲まされ、なんか宇宙飛行士の無重力訓練みたいな装置に乗せられる。
「これ、合コンとかの罰ゲームで使ったら盛り上がりそうですね」
「54番、無駄口を叩くな」
すべてのプログラムが終了し、午後は医師との面談。
「おおむね良好ですが、目がよくないですね。眼圧が高いです。軽い頭痛がしたりしませんか?」
「軽い頭痛なんて常にしてますよ、この文章の中にだってすでに6つも書いてるんですよ」
「じゃあ、本気になったブラジル代表ばりの速攻で眼科に行きなさい」
「はあ」
俺の人間ドック初体験は終った。
犬になりきるとしたら、コリーがいいな。