!!

つい勢いで飲んじまったのさ。
風の噂じゃあ今夜は陰険なポリスマンが街中至る所にうようよ湧いてるってんで、車で帰れなくなっちまった。
まあ、いいさ。今夜は車がホテル代わりさ。おあつらえむけに毛布だって車につんであるんだから。
しかもこんなに暖かい夜は、まるで「車で寝るために用意された夜」だよな。
一生のうち5回ぐらいは、「車で寝る夜」ってやつがあってもいい。
靴と靴下を脱ぎ捨てて、ダッシュボードに足をドカっと投げ出し、ゴロリと横になっちまう。
「横になればそこが俺の家になる」ってやつで、すこぶる快適だ。
音楽だってきけるんだぜ。エルビス・コステロの「ゲット・ハッピー!!」をひっぱりだした。
深夜に車のダッシュボードに足を投げ出している時に聴くアルバムにはふさわしくないって?
いいじゃないか、今夜は珍しく「ゲット・ハッピー!!」な気分なんだぜ。"!"が2つもつく夜なんて、そうそう無いんだ。
「ゲット・ハッピー!!」にはニック・ホーンビィの小説「ハイ・フィデリティ」のタイトルのもとになっている(と思われる)曲も入っている。
ホーンビィは小説の中で、主人公ロブの彼女に
「ハッピーになるべきよ、あなたの好きなエルビス・コステロだって「ゲット・ハッピー!!」って言ってるでしょ」なんて言わせている。
こんな世界一気のきいたセリフを吐ける女性なんて、俺の知る限り世界に3人くらいしかいない。
僕は、コステロがHAPPYの後ろに2つも"!"をつけた時の気分を想い、そっと目を閉じた。

Get Happy

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