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蕎麦屋で一杯

最近、地元にようやくお気に入りの蕎麦屋ができた。
その店は、
・来店を重ねるごとに、そばつゆの量がちょうどよく調節されている。
・そばが食べ終わる頃にスッとそば湯が出てくる。
など、”気を使いすぎなぐらい気を使ってくれるところ”が、長所でもあり短所でもある。
客商売にとって、”ちょうどいい客との距離感”を掴むのって、難しいよな。
なんせ、世の中にはいろんな客がいるからね。
ま、そんなことはどうだっていい。今日は蕎麦の話だ。
以前の職場では夜勤があった。夜勤明けってのは、映画に行ってもオープニング・タイトルを見る前に寝ちまうし、レコードを買いに行っても普段は絶対に買わないようなのを掴まされたり、まるで別人格の自分になっちまうことに驚く。
やはり、ちょいと一杯ひっかけて寝るに限る。かといって居酒屋はやってない。そこで考えたのが、「夜勤明けの11時から蕎麦屋で一杯」ってコースだ。
近くにいい店があったというのもあるが、蕎麦屋って意外にツマミが豊富にあるのを知ってるか?
席はカウンター近くのテーブルに座る。一人客ってのは、カウンターに座りがちだが、カウンターってのは急いでいる奴が座る席だ。だからゆっくり腰を据えて一人飲むならば、テーブルの方を選択するのが正解だ。テーブルを選択する理由は、「一人だけどテーブルです」という事で、店側にも、おっ、こいつは居座るなと印象づけるアピールでもある。
ゆっくりといっても、11時〜12時までの1時間が限界だ。12時からはランチの客が来るので、落ち着いて飲んでもいられない。 
そもそも俺の蕎麦屋の平均滞在時間は長くて15分と行ったところだ。さっと食って(というよりノドに流して)さっと暖簾をかきあげて出ていく。この背中がイキでいい。気が短い江戸っ子はきっとそうしていたはずだ。同じ理由で寿司も速攻勝負である。まぁ、寿司については、また後日機会があれば書こう。

まずは、生ビール。こっちは12時までの1時間勝負だ。できれば店に入って店員と目があった瞬間に生ビールを注文してやる。店員とのセカンド・コンタクトは、店員がテーブルにメニューと生ビールを同時に持ってくる時が美しい。また、体調が良く、最初から「2杯以上飲むぞ!」と心に決めている時は、ここで生を2つ注文してしまうのものアリだ(2杯目が飲みたいのに、店員がすぐ持ってこない(もしくはこれない状況に陥る)事が想定されるからだ)。当然その場合は、1杯目は一気に飲みほさなければならない。2杯目の鮮度を落としてはいけない。
そして、すぐ出てくるツマミ(俺は前座と呼んでいる)板わさ、枝豆、じゃこ天あたりをオーダーしてやる。
ビールを7割飲み干したところで、天ざるをオーダーする。ここで静かに目を瞑り、天ぷらが揚がる音・匂い・気温の変化を五感で楽しむ。
そして、2杯目のビールをオーダー。2杯目は天ぷらをツマミに飲る。天ぷらは塩でいただく。抹茶塩もよい。
その後、日本酒をオーダーし、ゆっくり蕎麦と飲る。最後はそば湯の焼酎割りで締める。そば湯はドロッとしているヤツの方がいいな。
そして帰って、一人寝る。熟睡だ。
蕎麦屋のBGMってのは、だいたい有線の演歌チャンネルだったりしてこれがまた心に染みるのだが、最近はジャズを流すような所も出てきて、それはなんとも蕎麦屋には不釣り合いで不細工な気がする。
即興中心のジャズは、やはり不器用な蕎麦には似合わない。蕎麦のビートは、すすり泣き。ジェントリー・ウィープなのである。
◎ 次回は、「ラーメン屋で一杯」を。