サーチ&デストロイ

音声ボイスで話してくれるATMとお話ししている。もちろん声には出さない。いや、本当のことを言うと、周りに誰もいない時は声に出して話していると告白しよう。

「きっぷヲお取り下さい」

   →「はい。ありがとう」

「ありがとヲございました」

   →「いえいえ、どういたしまして」

 

・・・嘘です。そんな笠智衆が演じるおじいちゃんみたいな、ほのぼのとしたヌルいやり取りであるはずがない。

「お札ヲ入れてください」

   →「○○○を入れてください」

「カードヲ挿入してください」

   →「○○○を挿入してください」

お約束はコレだ。訂正&繰り返し。この一連のやり取りを俺は、サーチ&デストロイと呼んでいる。

今日もガソリンスタンドで、周りに誰もいない事を確認して、サーチ&デストロイを敢行していると、給油機の影になって見えなかったのか、女性が一人立っていた。ヤバイ。サーチ&デストロイを聞かれてしまった!あまりのこっ恥ずかしさに、イギー・ポップのごとく裸でガラスの破片の上をのたうち回りたい衝動にとらわれる。女性はこちらを振り返り、

「よろしければ、どうぞ」

とクールに言い放った。

「え?」と僕。

「よくってよ。入れて下さい」

と女性。

言うと、普段隠れている部分を僕に露出させてきた。

僕は銃を握りしめ、普段隠れている部分に銃口を思いっきりぶち込んだ。トリガーを引くと、ドクドクと勢いよく発射される液体。ものの3分も持たず、すぐに終わってしまった。

「ありがとヲございました」

「いえいえ、どういたしまして」

声に出して囁き、出てきたレシートをビリっとちぎり取った。