GAME

息子がバスケをはじめた。父親としては、全力でバックアップしてやらなければならないのであろう。だけど俺は、毎週末、寝る事に忙しい。

ま、そうも言ってられないので、とりあえずゴールをネット通販で買って、家の庭に立てた。このゴールがアメリカ製。嫌な予感はしたが、その予感を裏切らない極めて雑な組み立て工程で、完成した後にもの凄い疲労感に襲われてしまった。冷えたミントティーを飲みながら横になって休んでいるうちに、いつの間にか寝てしまった。

「起きて、起きて」

何者かに揺り起こされて、目が覚めた。そこには、ピュアな目をした黒人の少年が立っていた。

「ねえ、バスケ教えて」

「え?」

「あんた、凄くバスケ上手そうですよね。僕に教えて下さい」

ま、確かに見た目は「超ド級の体育会系」の僕だけど、バスケの知識は漫画「スラムダンク」で得た知識しかない。漫画「スラムダンク」が、俺のバスケの全てだ。

あの時、確か・・・桜木花道は・・・

「初心者にシュートはまだ早い。最初はフンフンだ」

「え?フンフンって何?」

「フンフンは・・・フンフンだよ」

「え?ゴールは?せっかく立てたのに、シュートとか練習しないの?」

「これだから素人は困るんだよな〜。まずはフンフンなんだよ(確か、赤木もそう言ってたはず)」

「だから、フンフンって何なの?」

「フンフンはフンフンだよ」

 「じゃあ、フンフンやってみてよ」

「・・・。じゃあ、シュートやるか」

「やった!」

 (確か花道は、シュート行く前にマネージャーとドリブルとパスの練習してたと思うけど・・・めんどくさいから、ま、いっか)

「あ、ちょっと待って。音楽かけるから。バスケに合う音楽。待ってろよ」

急いでバスケの時にかける音楽を探す。確か、パブリックエナミーのあれがiPODに入ってたはず。


NBA Best of - He Got Game (1998) Soundtrack

 

あれ、おかしいな。Fight The PowerとかBring The NoizeとかPublic Enemy No.1とか凶悪なヤツしか入ってないぞ・・・。ピュアな目をした黒人の少年に、とてもこれは聴かせられないな。

 

まあいいや。こっちでいいや。似たようなもんだろ。むしろ俺、こっちの方が好きだし。


Buffalo Springfield - For What It's Worth 1967

 

「なんかこの牧場でかかってそうな音楽、バスケって感じじゃないんですけど」

「うるさい。はやくシュート撃て」

「え〜」

「あきらめたらそこで試合終了ですよ!」