甦るジョー・ストラマー!/金曜朝一のホワイト・ステージで、俺の2017年FUJIROCKは完結す。

橋を渡り終えると、俺たちの目の前にまるで古代遺跡のような存在感のホワイト・ステージが出現した。

遂に来た。俺はこの日をずっと待っていた。

 

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昨年に続き、今年もフジロックへの家族参加を決めた。

昨年参加した土曜日は、「イスの海」と「人の波」にどっぷりと飲み込まれ、あたかも敗戦兵の行軍のように「巨大な疲労感」を背負い込んで命からがら帰宅の途に着いた。そんなフジロックだった。昨年の反省から、今年は出演アーティストの好き嫌いを考慮せずに、最初から「金曜日の参加」と決めていた。「金曜日なら、海は凪ぎ、波は穏やかなはず(=空いているはず)」という航海士(=俺)の読みだった。

 

改めて金曜日のラインナップをチェックする。・・・知っているアーティストがいない。ロック・フェスなんて冠つけてるくせに、ロックのアーティストが少ない。クイーンズ・オブ・ザ・ストーンエイジ、いや俺は大好きなんだけどさ、カミさんも子供も絶対に苦手なはずだ。それから何日も何日も公式サイトの出演アーティストをチェックして、遂に宝を見つけた!DOCTOR PRATS!!

 

彼らを見落としていた理由は、ラインナップに使われているアーティスト写真があまり格好良くないからだ。この写真じゃあ、まるで場末のハードコア・パンク・バンドみたいじゃないか。だけど、誰が書いたか知らないが、彼等の紹介文の熱量がものすごく熱かった。僕の心を焼いたのは、「スペインで行われた野外フェスに、メインステージはMANU CHAO、サブステージにはDOCTOR PRATSが出演することになっていた。彼らは同時刻にLIVEをスタートしたという。誰もがMANUのLIVEを観に行くだろうと予想していたが、ここで波乱が起きる。MANUのLIVEが2万人の動員だったのに対し、DOCTOR PRATSは5万人を越える集客を記録したのだ。(原文まま抜粋)」っていう所だ。あのマノ・ネグラ(一時期、ロッキン・オンでレ・ネグレスベルトなんかと一緒に無意味にプッシュされていたので、私も大好きでした)のMANUを凌駕したバンド。これは、最高に違いない。

 

その日から早速YOUTUBEをチェックした(ホントいい時代になったもんですわ)。彼等の映像はたくさん上がっていて、やはりどれも最高だった。ライブは全て観客クっソ盛り上がりだ。そして、DOCTOR PRATSのメンバーはどの映像を見てもものすごく楽しそうに演奏している。ロックしている。一瞬で虜になってしまった。彼等を見る!絶対に見る!もう彼等だけでいい!

 

 そして、昨年の「ウィルコ状況」を思い出す。家族への予習時間をほとんど与えなかったので、妻&息子達は完全に置きざりで俺だけが盛り上がってしまうという非常にお寒い状況だった。今年は同じ轍は踏まない。DOCTOR PRATSの音源を購入し、朝食時、夕飯時、休日、車内と、家族で過ごす時間にはかならずかかるように早い時期から家族を洗脳する。その甲斐あって、息子達はAra!がかかると反射的に踊りだし、「ウォーウォーウォーの人達」と呼ぶまでになった。さあ、準備は整った。

 

11:00 ホワイトステージ到着。まだ空いてる。息子3人・・・ちょっと迷ったが構わずステージ前方へと進み、場所を確保する。妻は、万が一の事を考えてPA後方に待機してくれた。感謝。

DOCTOR PRATSを待つ。2分ごとに「あと何分で出てくる?」と聞いてくる息子を軽くいなしながら、客入れBGMでなぜかかかっている「マイ・ウェイ」の「マーイ、ウェ〜イ」の部分を心の中で大絶叫して待つ。

 

11:20 ホワイトステージ担当のMCの方が出てきて、彼等を紹介する。いよいよメンバーが登場してきた。一曲目から、Ara!を持ってきた!「ウォーウォーウォーウォーウォーウォーウォー」子供と一緒に大絶叫で飛び跳ねる。ステージ前方に突っ込んでいきたくなる衝動を抑え、その噴き出すパワーをなるべく高く飛び跳ねる方へと逃がす。あまりに激しく飛び跳ねすぎて、後日、「フジロックのおすすめグッズ」として紹介しようと思っていた下記のサコッシュのベルトの付け根部分がブッチギレてしまった。

恐るべしDOCTOR PRATS。その後も、アルバム収録曲の中でもとにかく盛り上がる曲のオン・パレード。しかし彼等の持ち歌の、コール&レスポンスや万国共通の「オーオーオー」系のコーラスの多さよ!これ、盛り上がらない方が嘘だろ。

「みんな、この曲、好きだと思うよ」というMCではじまったAviciiのThe Nightsのカバー。このカバーも最高だってことは、YOUTUBEで既にチェック済だ。疲れ気味の息子達を無理矢理ジャンプさせて盛り上がる。


El disc de La Marató de TV3 - Doctor Prats versionen "Les nits no moren mai" d'Avicii

なんといっても彼等は、観客の盛り上げ方を知り尽くしている。ステージ上から煽りまくる。そして、自分たちも思いっきり楽しんでいる。これ、楽しくない訳が無いのである。ステージに横一列に並ぶ4人の男達の立ち姿(ベース、ボーカル、トランペット、トロンボーンの4人が前列に並ぶ。キーボード、ドラム、ギターの3人は後列に控えるのが彼等のフォーメーションだ)は、最高に格好よかった。

最後は、ボーカルのマーク・E・リエアが、ジョー・ストラマーに見えてきた。思わず目をこすって見なおしてみたが、それはやはりジョー・ストラマーだった。ジョーはそこにいた。確かにそこにいた。

とても熱いステージだった。俺は全身びっしょりと汗をかき、叫び声で喉はつぶれた。家族も、ものすごく楽しんでくれた。(本当言うと、)息子達は、ちと疲れていたが・・・。

12:10 俺の2017年フジロックは、ここで終わった。早っ!

 

最後に書かせてほしい。なぜ彼等ほどのバンドが、ホワイト・ステージの一発目に出てくるのか?どうにも解せない。おかげで子供と一緒でもステージ前方で見る事ができたのだが、この状況はイカンと思う。最高のアーティストは、最高の場所で、最高の時間で演奏するべきだ。SMASHも、DOCTOR PRATSが最高のライブ・バンドだって事はよく知っていたはずだ。だけど、裏の一番大きいステージで演奏していたのはグループ魂とかいうヤツラだ。ここはいったいどこだ?FUJIROCKフェスだろ?あのFUJIROCK FESTIVALなんだろ?

ボーカルのマーク・E・リエアが、「僕たちの夢が一つ叶いました。それは、フジロックのステージで演奏することです!」とMCで言ったとき、「ああ、どうせなら最高のステージ:グリーンステージで演奏させてやりたかったし、盛り上がりたかったな」と思ったよ。そしたら俺が、あのたくさん並んだ不愉快なイスを一つ残らず蹴散らしてやったってのにな!ハッ!