レッチリのTシャツ

世間に溢れすぎだろ、レッチリのTシャツ。どう見ても、あんたレッチリ知らないだろ?って奴まで着てる。これほど着てる奴が多いと、その意味が違ってくるよな。まるで「辛いモノ好き同好会」のTシャツみたいな事になっとるぞ、レッチリのTシャツ。

 

スーパーのレジで並んでいると、強引に割り込んできた体格のいいオバさん。

「あの・・・並んでるんですけど」

「え?間すごく空いてたじゃない。あんた、これじゃ並んでるってわからないわよ」

振り向いて捲したてるババアが着てるTシャツ、レッチリのTシャツ。白地に赤の米印みたいなマーク。その周りにRED HOT CHILI PEPPERSって入ってるやつ。そのレッチリTシャツのインパクトに押しこまれ、ババアの割り込みを許してしまう自分。チクショウ。

 

ちなみにあのレッチリのマークだけど、ボーカルのアンソニーが考案したらしく、一説には、「辛いものを食べすぎた後のケツのアナ」を表しているらしい。(あー、またやっちまったよ。下品な下ネタで本当にすまない)

 

そんな事はどうだっていい。問題はババアの割り込みだ。頭にきたので、普段は意識してやらないようにしている「前の奴が買った買い物カゴの中身をチラ見して、そいつの食生活を推理する刑事コロンボ・ゲーム」を解禁することにした。これをやると、僕はなぜかいつも寂しくなってしまう。スーパーの買い物カゴの中身には、哀愁がたくさん詰まっているからだ。今日はその悲しみを振り払い、怒りのサーチライトをババアのカゴに差し向ける。

頭を掻きながら、買い物カゴの中を横目で確認する。ジャガイモ、タマネギ、人参、福神漬け。あ〜、もう分かっちまった。レッチリTシャツ着てこのメニューとは、なんとも滑稽だな、おい。と心の中で嘲笑う。

推理を続ける。肉(タイムセール30%引き)、エノキ、ん?エノキ?エノキってなんだ?いや、エノキに惑わされるな。恐らくエノキはフェイクだ。味噌汁の具かなんかだろう。舞茸、舞茸だと?いやこれもフェイクだ。天ぷらかなんかにするんだろう。シメジ、おい、どんだけキノコ好きなんだよ。シメジ、付け合わせかなんかかな。なめこなめこ?またキノコじゃないか。これもフェイクだと思う。朝食かなんかで小鉢でちょこっと出てくるやつだろう。マッシュルーム、マッシュ!マッシュはあるぞ。いやマッシュだとここにきてビーフストロガノフの線が浮上してくるな。さっきの肉、何肉だった?タイムセールのシールに気をとられて確認しなかった。牛か?豚か?くそっ、ルゥーは買ってないのか?

と、後ろから僕のカゴの中をマジマジと見ているオバさん、レッチリのTシャツ。落ちつきなくレジ横に置いてある辛いお菓子(大炎上唐辛子)をイジくり倒してるガキ、レッチリのTシャツ。レジ袋をケチって店が無料で出してるロール巻きの小さいビニール袋に獅子唐をパンパンに詰めてるオヤジ、レッチリのTシャツ。おい、レッチリのTシャツ売り過ぎだろ?一体全体どこで売っていやがるんだよ!かくいう俺も、レッチリのTシャツ。カゴの中には大量の悲しいモノを詰めこんで、今日もレジに並ぶのである。

 

By the Way

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