ムスタングと左利き

昔、エライかっこいい女の子と出会った。

「バンドとかやってるの?」

「やってないよ。でも・・・」

「でも?」

「ギターは持ってるの」

「へ〜。どんなギター?」

「ん〜と、女子っぽくなくてちょっと言うの恥ずかしいな」

「いいから教えてよ」

「(笑)。引かないでね。ムスタングっていうの。知ってる?」

「あ〜、ニルバーナのボーカルが持ってるやつだ」

「そう!私もテレビで偶然見て、ビックリしたの。けど、あれ左利き用なのよね。私のはね、右利きよ」

「へ〜」(カート・コバーンって左利きだったんだ)

 

後に、彼女のそのムスタングは、Char仕様という事を知る。同時に、彼女がCharそっくりな男と付き合いだしたのも知る。僕の子供の頃のあだ名は、チャーだったってのにさ。僕のハート型の箱は、ブラック・シューズで踏みつけられて粉々に砕け散った。

 

 

僕は、もともと左利きだったらしい。自身が左利きで大変苦労した母は、まだ僕が幼いうちに右利きに矯正してくれた。

 

僕はギターができない。人生で何度もトライしているが、やっぱりできない。最近思い出したのだが、最初にギターを持った時に、ちょっとだけ違和感を感じた。あの時は気にせず流してしまったけれど、もしかしたらあれは、本来の左利きの本能が送ってきた「そっちじゃないぞ」という信号だったのかもしれない。あの時、左のままでプレイしていたら、もしかしたら俺がスメルズ・ライク・ティーンスピリットを世に送り出していたかもしれない。(他にもたくさんあるぞ。運転とか野球とかゴルフとか・・・)

 

いやまてよ。ここまで書いて、ふと思う。ギターも運転も野球もゴルフも全部苦手な僕は、「左利き矯正」のせいにしようとして逃げているだけなのかもしれない。いや、逃げているだけだ。逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだー。

 

僕の次男はもともと左利きだった。色々と考えたけれど、右利きに矯正している。次男はちょっとだけ高めのファルセットボイスで歌うので、事あるごとにギターを弾く事をすすめているが、なかなか乗ってきてくれない。あのフジロックのステージにだって立って、ウクレレをプレイしているってのに。(キッズランド・ステージだけどね)

 

今度、ニルバーナでも聴かせてみようかと思う。ちなみに僕が好きなニルバーナは、アルバム「ホルモウニング」。ディーボとヴァセリンズのカバーが最高です。

 

ホルモウニング

ホルモウニング

 

 一時期高値で取引されていたけど、今は他のアルバムで全ての音源が聴けますよ。