フリーバード

鳥人間コンテストまであと3日。この日、俺は命を賭ける。

小さい頃からの夢だった。鳥になりたい。クラスのみんなは、俺の夢を嘲笑った。教師ですらだ。俺は怒りに震えた。現在もその震えが止まらない。まるで産まれたての雛のように。

ある日、鳥人間コンテストの存在を知った。遂に来たと思った。勤めていた航空会社をスッパリと辞めた。改めて我が心の中に問いかけた。俺は、パイロットとかそういうもんになりたいんじゃないだろ?まさしく鳥そのものになりたいんだろ?そうだろ?

その日から本格的に体を軽くする鍛錬を開始した。また、ほんの僅かの可能性ではあるが、「鳥への進化」を信じて、四六時中、翼を下さいと心に念じ続けた。

数年の月日が流れ、手を広げるとまるで翼の如く腕から脇にかけて皮膚が伸びるまで成長した。鳥だ!遂に俺は鳥になった。俺は鳥人間だ。

 早速、コンテストに参加登録すると、コミック部門というカテゴリーにエントリーされた。コミックという響きが不本意極まりなかったが、仕方なく受け入れた。な〜に、本当の鳥人間ってものがどういうものか、今に世界中の人々がそれを目の当たりにする事になる。世界よ、待ってろよ。

当日、俺はレイナード・スキナードのTシャツを着て、滑走台に立っていた。派手なアクションでTシャツを脱ぎ捨て、大きく翼を広げる。会場がざわつく。見ろ!これが鳥人間だ。その時、1人の子供が叫んだ。

「モモンガだ!」

モ、モモンガ、だと?

 助走で足を滑らせた俺は、ジャンプ台から真っ逆さまに墜落し、鈍い角度で着水した。

記録、0m。