ある日の朝

我が家には、朝起きた順番にレコードの片面をかけられるといったルールがある。いつも私は、洗濯やら弁当作りやらで朝の5時起き。だから、我が家の朝はアビーロードのB面から始まる。

 

5時半。部活の朝練で長男が起きてくる。「あ〜、またファッキン・ビートルズかよ。たまにはキンクスとか聴きてぇよ」ブツクサ言ってるけれど、そんな意見はいつも無視。ブツクサ言いながら、長男は、ヴァン・ヘイレンの赤ちゃんがタバコ吸ってるジャケットのアルバムを待機させる。これから、私にとっては地獄の時間が始まる。


曲がパナマに差し掛かる頃、次男が起きてくる。「パーナ・マ」とうたいながら、2人でハイタッチをするのが、彼ら流の挨拶だ。次男がいつもセットするのは、クラッシュの白い暴動。
「俺さ、ミック・ジョーンズとジョー・ストラマーの声がどっちかわかんなくてさ。お前、どうやって聴き分けてるの?」
「え?なんだろ?勘?」
「なんだよ勘って。じゃあ、ジョン・レノンポール・マッカートニーはどうやって聴き分けてる?」
「カッコイイ曲がジョン、軟弱な曲がポール」
「ハハ。じゃあ、クイズね。・・・カム・トゥギャザーはどっちだ?」
「ジョン」
「イエスタデイは?」
「ポール」
「ハッピネス・イズ・ア・ウォームガンは?」
「ジョン」
「オブラディ・オブラダは?」
「ポール」
「あら、ちょっと待って。あなた達の選曲のセンスに物凄い悪意を感じるわね。じゃあ、オール・ユー・ニード・イズ・ラブは?」
「ああ・・・」
「じゃあ、 ヘルター・スケルターは?」
「ああ・・・」

「ほら、みなさい」

「いや、やっぱり俺の中でジョンっつったらジョン・ライドンだからさ。そんでポールっつったらポール・シムノンだから。兄貴は?」
「俺?ジョン・ポール・ジョーンズ
「すげえ、二人入ってんじゃん。でも俺、ジョーンズっつったらミックジョーンズなんだよな」
「ハハハ。じゃあ、ジョージの声ってわかる?」
ジョージか…。難しいな」
「じゃあ、ちょうどここにレコード出してあるから、これ聴いて確認してみるか。母さん、このヒア・カム・ザ・サンって確かジョージだよね」
「そうよ」

思いがけずアビーロードがまた聴けるなんて!朝からニヤニヤが止まらないわ。