暗黒街の顔役

アイツ、選挙に出るんだな。横ちょの角の電信柱に貼り付けられた、あのポスターで知った。アイツの顔と名前が街中の至る所に貼ってあるってのは、どうにも奇妙な感じだ。どこに行ってもヤツに見られているようで、しまいには「お前、そんな笑顔でこっち見てくんなよ」と、下向いて呟く事になる。

しかし、あの写真、思いっきり修正がかかってて、オマエだって気づくまでにはかなりの時間を要したぞ。あんなポスター作ってる時点で、しかも、あんなポスターに満足気にGOサインを出してる時点で、自分を偽りまくっているんじゃないのか?そんなヤツが選挙に立候補してどうするよ。その「これから嘘つきます!」満々な感じに、こっちの不信感は募るばかりだぜ。写真の修正は、選挙管理委員会が固く禁じるべきだと思わないかい。

人間の生き様ってのはなぁ、顔に出るんだよ。俺は、候補者の顔を見て投票してるんだよ。

 

〜顔〜

 

昔、スモール・フェイセスというイカしたバンドがいた。しかし、最高のボーカリストであるスティーブ・マリオットが脱退。再出発を誓った残りの3人が付けたバンドの名前が、フェイセズ。スモールを取っただけ。いや普通はさ、「ジョイ・ディビジョン → ニュー・オーダー」みたいにバンド名をガラッと変えて行くと思うんだけど、スモール取っただけ。3人の間で、一体、どういった話し合いが持たれたのであろうか?

 

今夜、ポートベローのパブにて

「あ〜、チクショウ!スティーブのヤツ!」

「まあまあ」

「飲み過ぎだぞ」

「これが飲まずにいられるか!なんだってピーター・フランプトンの奴なんかとよお、あのチビ!」

「お前もチビやん」

「お前もだろ」

「まあまあ」

「で、オレ達、これからどうするよ?」

「当然、バンド継続だ!絶対に売れて、スティーブ見返したる!」

「まあまあ」

「OK。バンド名はどうするよ」

「・・・スリム・チャンスってどうかな?」

「チビの次は、痩せっぽち?」

「うるさい!」

「まあまあ」

「じゃあ、ローリング・ストーンズってどうかな?」

「いや、それ、もうあるし。そこそこ売れてるから」

「あ〜もう面倒くせえ。チビが抜けたから、チビ取ってフェイセズでいいや」

「いやお前もチビやん」

「お前もな」

フェイセズ・・・いい名前だな」

「え?」

「なんかさ、オレ達のこの辛い状況に直面してる感じが出てて、いいんじゃないかな?」

「辛い状況?ふざけるなよ。オレ達は顔役なんだぜ」

「そう。オレ達こそが顔役さ」

 

深夜のパブでこんなやり取りがあったかどうかは謎ですが、実際はフェイセズの前に、ロッド・スチュワートロン・ウッドとアート・ウッドと共に「クワイエット・メロン」という名のバンドを結成しており、フェイセズというバンド名は、スモール・フェイセスという名前でバンドを継続させたかったレコード会社の意向との妥協案だったのかな?と推察されます。

僕の好きなスモール・フェイセスの曲で、「アイム・オンリー・ドリーミング」という曲があって、歌い出しの最初の小節に「フェイス」という単語が出てくる。もしかしたら、あの曲からバンド名を取ったのだろうか。

  

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追記:. ここまで書いて、ジョン・カサヴェティスのフェイシズを思い出す。公開は1968年。意外とこっちだったりして。

 

追記2:クワイエット・メロンから、ブラインド・メロンを思い出す。こっちはこれから取ったのかな?

  

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