今夜、ハードロックカフェにて

「先日さ、映画見に行ったんだよ」

「珍しいですね。何見たんですか?」

「アベンジャー?ズ?」

「笑。1人でですか?」

「1人だけど。何か?」

「笑。いえ」

「そんでね、エンドクレジット見てて思ったんだけど、外人ってやたらミドルネーム持ってる奴多いじゃん。あれ、カッコイイよな」

「 〝スネーク゛みたいなやつですか」

「そう!コブラとか、ロックとか、渋いよな〜。んで、俺もつけようかなって」

「え?」

「ミドルネーム。んで、名刺の裏に印刷しようかなって」

「ビジネスで使うんすか?」

「悪い?」

「・・・いえ」

「でね、俺に似合うミドルネーム、なんか無いかな?」

「・・・ファットマンとか?」

「ふざけんな。ひとつもカッコよくないだろ」

「ビッグ・マン?」

「同じだろ」

「ドラム缶?」

「見た目から離れろ」

「バルド・ヘッド」

「そっちの見た目、もっとダメだから。密かに気に病んでるし」

「ここは開き直って、プロフェッサー・ロング・ヘアーみたいにプロフェッサー・ノー・ヘアーとかどうすか」

「ハゲの教授かよ。人生で頭使いすぎた感、丸出しだろ」

「あ!ピアノ・マンとか、どうすか?」

「ピアノ弾けねぇし。しかもビリー・ジョエルとか大嫌いだし」

「ハードロック・カフェ・デ・ビール飲むマン」

「長い。しかも、カフェって。あ!カッターかかった!」

「いつの間にリクエストしてたんすか!って、これまた誰も知らない曲を。あ、ミドルネームに、バニーメンどうすか?ニューウェーブ好きそうな感じが出てますよ」

「複数形はどうなんだろうな」

「もう、ファットマンでいいですよ」

「・・・。」

The Cutter

The Cutter