レザーボアドックス

「やっぱ無難に黒すかね?」

「いや、紺じゃね?」

「モスグリーンが意外に渋いんだよね」

「モスグリーン、いいね」

「敢えて、赤チョイスは?」

「んなら、もっと攻めようぜ。ピンクとかどうだ?」

「攻めてるね〜」

 

なんの会話だと思う?まるでレザボア・ドックスのオープニングのような、色をめぐるテーブル・トーク

これ、ランドセルの話である。

 

来年、三男坊が小学校に入学。またランドセルを購入しなければならない。3個目か・・・。俺は、ガキの頃からランドセルってヤツが嫌いだった。重くて、固くて、機能性も低い。おまけに価格もべらぼうに高いときた。あれのルーツ、よく山伏が背負ってる四角いアレだろ?験者の修行じゃないんだからさ。

 

昔、映画ETの世界観に憧れた。小学生の僕は、パーカーが無いので赤いトレーナーにフードに見立てた赤いタオルを被り、BMXに見立てたボロボロのママチャリで走りながら、アメリカの学校生活を夢想した。アメリカの小学生は、ブックバンドや、カラフルなナイキのバックパックで登校しているのだ。かっこよすぎるだろ。今すぐママチャリで満月の夜にアメリカまで飛んで行きたくなった。部屋で姉が大音量で聴いていた尾崎豊の「自由っていったいなんだ?」っていう問いかけに対して、俺は「小学校に、ナイキのバックパックで登校する事だろ」と尾崎に即答していた。

 

時は流れ、我が子が小学校への入学を迎えるにあたり、未だにランドセルを強制購入させられている事実に驚愕を覚えた。嘘だろ?タチが悪いのは、「カバンの種類は選択できないが、色を自由に選択できます」という〝強制の中にほんの少しの自由度゛を与える事で、この文化は延命しているのだ。みんな色を選ぶ事に夢中になり、ナイキのバックパックを選ぶ事を忘れてしまっている。更にタチが悪い事に、ナイキがカッチョいいランドセルを発売しやがったのだ。皆、ナイキのランドセルをゲットする事に夢中になり、ナイキのバックパックの方の存在を忘れてしまっている。おそらくグレゴリーのランドセルが発売される日も近いであろう。ランドセルの業界には、優秀なフィクサーがいるに違いない。

俺は、このランドセル業界と闘争する事を諦めた。となると、俺の信条である「与えられた状況を、他人よりも思いっきり楽しめ!」が発動する。

 

「来年3人ランドセルだから、黒い三連星だな」

「三年生じゃねーよ。俺、四年だから」

「いや、ドムだよ、ドム」

「あ〜、ジェットストリームアタックか」

「そう!できるよね!」

「じゃあ、父ちゃんが連邦の白いモビルスーツ?」

「当然だ。お前、長男だから先頭な」

「俺、踏み台にされるのヤダよ」

「あ〜ランドセル買うの楽しみだ。で、色、何色にする?」

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Scrambling Rock'n'Roll

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