トム・ウェイツで検索を

はてなブログって、キーワードがリンクされるよな。俺、あれ、好きなんだよ。知らない間に知らない誰かさんと繋がっちまうんだぜ。俺、たまに・・・(まあ、あまり言いたくないけど寂しい時が多いかな・・・)「トム・ウェイツ」で検索かけてんだよ。そこで引っかかってきたブログの記事、だいたい読んでるからね。数は少ないんだけどさ。すぐに俺の下らないブログのタイトルが出てきちまうんだよな。まあ、トム・ウェイツ好きな奴は、だいたい信用できるよな。

 

俺がトム・ウェイツを知ったのはいつだろうか。確か高校二年の時だった。最初に聴いたのは、レイン・ドッグだった。声を聴いて、いっぺんで大ファンになっちまった。それから、少ない小遣い全部つぎこんで、店に並んでるトム・ウェイツのCD全部買い占めたよ。でもどうしても手に入らなかったのが、

・クロージング・タイム

異国の出来事

・ブルー・ヴァレンタイン

・ハートアタック&ヴァイン

だった。

田舎の高校には、トム・ウェイツを好きな奴なんて1人もいなかった。当時は、ほとんどの奴がガンズンローゼズで、せいぜいエアロスミス、レッドツェッペリンU2あたりだったかな。だけど、ブルース・スプリングスティーン大ファンの奴が1人いて、そいつは、俺が呪文のように唱えてた「トム・ウェイツ知ってるか?」ってセリフに引っかかってきた。

「ちょっと待って。その名前、聞いた事あるな」

翌日、学校に行くと、そいつが全速力で駆け寄ってきて、

「思い出したよ!ジャージーガールだよ!」

と嬉しそうに言った。

そして、ロイ・オービソン&フレンズのビデオを俺に貸してくれたんだ。そこには、気持ち良さそうにピアノを弾くトム・ウェイツの姿があった!お礼に俺は、ダウン・バイ・ローのビデオを貸したのさ。

それから俺達は親友になり、2人でトム・ウェイツ・ファンクラブみたいなもんを結成したんだ。休み時間と放課後には、トム・ウェイツの事を色々と話し合った。当時は、インターネットも大きな書店も無かったので、トム・ウェイツの情報は本当に少なかった。ダウン・バイ・ローは擦り切れるほど見たし、アウトサイダーランブルフィッシュも見た。リッキー・リー・ジョーンズも聴いた。

そうなると、どうしても手に入らなかった1stアルバムのクロージング・タイムが欲しくなる。中古のアナログ盤も探したが、田舎のレコード屋には置いていなかった。ベスト盤のアサイラム・イヤーズに、1stアルバムから「マーサ」と「グレープフルーツムーン」が収録されていて、どちらも最高の楽曲だった。他の曲も聴きたくてたまらなかった。代表曲Ol''55は、イーグルスがカバーしている事は知っていたが、敢えて聴かないように努めていた。変な先入観無く、トムのオリジナル・バージョンを先に聴きたかったからだ。

ある日、クラスの女子(軽くトム・ウェイツ洗脳済み)が、

レコード屋さんの外盤コーナーに、見た事が無いトム・ウェイツのアルバムあったよ。多分、1stアルバムだと思う」と俺達に声を掛けてきた。

俺達は外盤コーナーは常にチェックしていたので、

「嘘だろ?どんなジャケットだった?」

「絵で・・・」

「それ、セカンドだよ」

「違う!土曜日の夜じゃない。あのオバさん、いなかったもん。トムが1人で、ピアノにもたれかかってた」

「じゃあ、新しいベスト盤かな?」

当時、情報が無かったので、我々も1stアルバムがどんなジャケットかはわかっていなかった。

早速、授業をサボって、親友とレコード屋に走った。誰かに買われちまうかもしれない!(今思えば、絶対にそんな事は起きるはずが無いのだが・・・。)

水戸のレコード屋「フジディスク」の狭い階段を駆け上がる。店舗の片隅にひっそりと設けられた外盤コーナーには、輸入CDの入った長い箱がいくつかあった。あった!黒い箱には、ピアノにもたれかかるトム・ウェイツの絵!いかにも初期のアルバムジャケットだ。タイトルは・・・Closing Time!うおー!!ついに見つけた!客が誰もいないフジディスクで、興奮して騒ぎまくる親友と俺。でも、残念ながら一個しかなかったので、「俺は歌詞カード見たいから、日本盤が出たら買うよ」と、親友に譲った。その日はジリジリと「土曜日の夜」と「マーサ」と「グレープフルーツムーン」を聴いて過ごした。いつも親友に電話して、電話越しにオススメの曲を聴かせあっていたのだが、この日は電話はしなかった。クロージング・タイムを最初に電話越しの音で聴きたくなかったからだ。翌日、親友がクロージング・タイムをカセットテープにダビングしてきてくれた。その内容が最高だって事は、すぐわかった。親友がカセットの紙に手書きで書いてくれた曲のタイトルの字が踊っていて、その字体からものすごい熱量が伝わってきたからだ。

授業はサボらず、昼休みに学校の屋上に行って、寝転んで、ウォークマンにカセットテープを突っ込んで、念願だったOl''55を聴いた。A面の一曲目。屋上から見上げた青い空には、たくさんの雲が流れていた。

 

今日の朝に、思いがけずOl''55を聴く事ができて、色んな事を思い出して、いてもたってもいられなくなり、会社をサボってこれを書いている。

このブログ主のナギさんは、博学で、クールで、パンクで、ユーモアもあって・・・とにかく凄い人なんだが、なぜか度々、俺なんかの駄文を褒めてくれて、その度に俺は嬉しくなっちまう。仕事以外でなに一つクリエイティブな活動をしていない今、このブログだけが俺の唯一の創作活動であり、それを定期的に特出しで評価してくれるナギさんには、ものすごく感謝している。この場を借りて、本当に心からありがとうと言いたい。

 

こうなると、トム・ウェイツのライブが見たいよな。以前見たインタビューで、「日本か(笑)。また行きたいね〜」と答えていたが、あれからもう何年も経ってるよな。もっとも、彼流の軽口なのかな?

俺は今日もトム・ウェイツで検索して、色んな人とトム・ウェイツで繋がっている事に喜びを感じているよ。