アゲ

ある朝の食卓。

 

息子「あ〜サマースクールとかウザいわ。なんで夏休みにまで学校行かなきゃなんねーんだよ」

俺「あ〜会社ウザいわ。ガキ共の夏休みが羨ましいわ」

息子&俺「はあ〜」

その時、いつものようにつけっぱなし&選曲任せっぱなしにしていたiTunesから、ふいにあの曲のイントロが流れ出した。

俺「アー!この曲、父ちゃんが若い頃、クラブでかかるとメチャクチャ盛り上がった曲!」

息子「へ〜。静かな落ち着いた曲じゃん。これで本当に盛り上がったの?」

俺「最初は静かな感じで始まるんだよ。そんでね、父ちゃんの知り合いのDJは、徹夜で踊り疲れた朝の5時くらいにこの曲をかけやがるんだよ。このイントロが流れた瞬間、酔っ払ってバーのカウンターに突っ伏してた父ちゃんが、ゾンビのようにムクっと起き上がって、「フゥーーーウーー」っつってこぶしをつき挙げて、ダンスフロアに突入していくんだよ」

息子「へ〜(笑)。・・・でもやっぱこの曲、静かだね」

俺「まあ待てよ。これから盛り上がってくるから。ほら、キタキタキタキタキタ、このドゥム・ドゥム・ドゥム・ドゥムっていう低音のアタック音。たまんね〜」

妻「ていおんってどういう意味だ?」

息子「えっと・・・」

俺「低い音だよ」

息子「今、言おうと思ったのに」

俺「嘘つけ」

妻「じゃあ、低音の反対は?」

息子「おんてい?」

俺「バカ。高音だわ」

息子「でもやっぱりこの曲、静かだよ。いつもの、曲がかかると父ちゃんが狂いまくるやつ、例えばハロハロハローの曲(ニルバーナ:スメルズ・ライク・ティーン・スピリット)とか、 ドゥワで父ちゃんの曲(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン:キリング・イン・ザ・ネーム)とかに比べると、おとなしいよ」

俺「まあな。きっとさ、あの頃の時代とか文化とか美しい思い出込みで、音が俺の脳裏を揺さぶってきてるんだよね」

息子「水着とか、おっぱいとか」

俺「鋭い」

妻「最低」

俺「ほら、お前が好きなDoctor PratsのAra!って曲、ちょうど去年の今頃、フジロックのホワイトステージでみんなで大暴れしながら聴いたよな。目を瞑れば、あの時のパーティーが思い出されるだろ。そういう事だよ」

妻「出た。父さんのBGM理論」

俺「そうよ。だから、色んなシチュエーションで、できるだけ好きな音楽を流しとけ、脳裏に思い出を刻みこんでおけって事だよ」

息子「そうか」

俺「でね、知り合いのDJは、このドゥム・ドゥム・ドゥム・ドゥムの所で、ニューオーダーブルーマンデーのドゥム・ドゥム・ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥ・ドゥってアタック音を繋げてくるんだよ。そんで父ちゃんまたフゥーーー!ってなるんだな」

息子「はあ」

俺「さ、今日も会社ガンバるぞ〜!」

息子「・・・。」

Born Slippy (Nuxx)

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