今夜、ハードロック・カフェにて

「実はさ、俺さ」

「何ですか?」

「やっぱいいや」

「なんすか?もったいぶらないで言ってくださいよ」

「あ〜、実はさ、今、映画の脚本書いてるんだよ」

「え?先輩が?」

「ああ。」

「どんな話ですか?」

「聞きたい?」

「聞きたい、聞きたい!」

「誰にも言うなよ。あのね、売れないジャズピアニストと、女優を目指して頑張るオネーちゃんが出会って、恋に落ちる話」

「それ、ラ・ラ・ランドじゃないですか」

「見たの?」

「当然、見てますよ。大好きな映画ですよ。先輩こそなんで見たんですか?あれ、先輩が絶対見ないジャンルの映画でしょ」

「まあ、この前、海外出張行った時の飛行機でね、たまたま見たんだよ」

「で、どうでした?  (※以下、ネタバレあり)」

「ジャズの話がたくさん出てきて、面白いよね。」

「そこですか。あの映画の感想で、トップでは誰も語らないそこを最初に突いてきますか」

「あと、フロック・オブ・シーガルズとか懐かしいよね。あれが嘲笑の対象だとかさ、若い奴は誰も知らないだろ」

「やっぱそこ、引っかかりましたか」

「しかし、グウェン・ステイシーが女優目指してたとはねぇ」

「え?  それ、アメージング・スパイダーマンとゴッチャになってませんか?」

「ただなぁ、ラストが納得いかないんだよな」

「え?あれがいいんじゃないですか。カサブランカ的というか、シェルブールの雨傘的というか」

「いやさ、たった5年で男も女も大成功しちゃっててブイブイ言わせてるんだよ。せめてどっちかが落ちぶれまくっててほしいよな。やっぱ男の方かな。ブクブク太って酒浸りでさ。それで、たまたま高速道路で追い抜く時に、偶然、目が合って、男の頭の中でかつて女と過ごした過去の思い出が美しく塗り替えられてフラッシュバックされる。でも、女は男に気付いたんだか気付かなかったかわからない感じで去って行く、みたいな展開がよかった」

「そんな映画、誰も見たくないですよ」

「俺は見たい。そんな展開だったら、多分、声出して泣く」

「結局、人がどんな映画に感動するかって、見る者の人生を映し出す鏡みたいなもんですからね。ちなみに先輩の好きな映画って?」

タクシードライバー一択だよね」

「笑」

「だからさ、ララランド撮った監督さあ、タクシードライバーのオマージュもバンバン入れろって。あの2つの映画さ、デートで映画見に行ったりとか、なんか似てるよね」

「全然、似てねえっす。あの2つの映画が似てるとか、感覚がおかしすぎです」

「あ!ストリートライフかかった!」

「いつの間にリクエストしてたんすか!っていつものニューウェーブじゃないですね。あ!もしかしてシャーキーズ・マシーンですか」

「おうよ。ララランドなんか忘れて、今日はバート・レイノルズを偲ぶとしよう」

 

Street Life

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